
介護業界の採用課題と現状
介護業界の人材不足は年々深刻さを増し、多くの事業所が採用に苦戦しています。2025年の今、介護職の有効求人倍率は依然として3倍を超える高水準で推移しており、人材確保は経営課題の最重要事項となっています。
特に中小規模の介護事業所では、大手と比べて知名度や採用予算の面で不利な状況に置かれがちです。
「求人を出しても応募が来ない」「せっかく応募があっても面接に来てもらえない」「採用できても長続きしない」――こんな悩みを抱えていませんか?

総務省の調査によると、2025年の65歳以上の日本の人口は3677万人に達し、2040年にはさらに増加して3921万人になると予測されています。高齢者人口の増加に伴い、介護サービスの需要は今後も拡大し続けるでしょう。
しかし、介護職の採用が難しい要因はいくつもあります。給与水準の低さ、3K(きつい・汚い・危険)というネガティブイメージ、有給休暇の取りにくさなどが主な理由として挙げられます。
こうした厳しい採用環境の中でも、人材確保に成功している介護事業所は確かに存在します。彼らは何が違うのでしょうか?
採用成功のポイント①:求める人材像を明確にする
採用活動を始める前に最も重要なのは、どんな人材が必要なのかを明確にすることです。「介護スタッフを募集しています」という漠然とした求人では、応募者の心に響きません。
具体的には、いつまでに(when)、どんな人物(who)、どの部署で(where)、何人必要か(how many)という要件を明確にして、採用する基準や戦略・スケジュールを組むことが重要です。

中小介護事業者に選ばれる理由として、「中小事業者特化の専門性」「きめ細かいサポート体制」「長期的なパートナーシップ」が挙げられます。これらの強みを活かした人材像を設定しましょう。
たとえば、「利用者様との距離が近い環境で働きたい方」「アットホームな職場で成長したい方」「地域に根ざした介護に携わりたい方」など、中小事業所ならではの魅力に共感できる人材像を描くことが大切です。
人材像が明確になったら、それを求人情報に落とし込みます。ただし、単に「求める人材」を列挙するだけでなく、「その人材がなぜ自分たちの職場で活躍できるのか」「どんなやりがいや成長があるのか」まで伝えることがポイントです。
あなたは今まで、どんな人材を求めているのか、本当に明確にしていましたか?
採用成功のポイント②:レスポンスの速さを最優先にする
介護職の採用市場は売り手市場です。良い人材ほど複数の事業所から声がかかっています。そんな中で差をつけるのは、なんといってもレスポンスの速さです。
成功している事業所では、面接日の調整は1〜2日以内に返事をし、採否結果は面接時にその場で即決してお伝えしているケースが多いのです。
「もう少し検討したい」「他の候補者と比較したい」と思うのは当然ですが、その間に候補者は他の事業所に決めてしまうことも少なくありません。特に介護業界では、人材確保が急務であることを考えると、スピード感を持った対応が求められます。

関西地方の特別養護老人ホームでは、採用業務の時間を50%削減することで、応募者への対応速度を高め、採用成功率を向上させた事例があります。応募から面接、採用までのプロセスを効率化することで、応募者の印象も良くなります。
具体的には、以下のような対応を心がけましょう。
- 応募が来たら24時間以内に連絡を取る
- 面接日程は候補者の希望を最大限尊重する
- 面接後の合否連絡は3日以内、できれば当日中に行う
- 内定後のフォローも迅速に行い、入職までの不安を取り除く
「でも、忙しくて対応できない…」と思うかもしれません。しかし、採用に成功している事業所では、採用業務を最優先事項として位置づけ、担当者を明確に決めて責任を持って対応しています。
あなたの事業所では、応募者からの連絡にどれくらいの速さで対応できていますか?
採用成功のポイント③:職場の雰囲気を正直に伝える
採用活動では、職場の良いところだけを伝えたくなるものです。しかし、入職後のミスマッチによる早期離職を防ぐためには、職場の実態を正直に伝えることが重要です。
求職者は、現場スタッフが楽しそうに働いているかどうかをとてもよく見ています。面接時に現場を案内する際は、スタッフが笑顔で挨拶してくれる環境づくりを心がけましょう。
九州地方のグループホームでは、2ヶ月で2名の採用に成功した事例があります。小規模施設ながら、職場の雰囲気や働き方について丁寧に説明し、見学時には実際に働いているスタッフとの交流の機会を設けたことが成功の要因でした。

面接では一方的な質問形式ではなく、対話形式を心がけましょう。「前職の退職理由は?」「腰痛はありますか?」といったネガティブな質問攻めではなく、「当施設に入社してくれたら、こんなふうに成長できます」という具体像や、「利用者様に対して持っている想い」「ケアに対する考え方」をしっかり語ることが大切です。
そして相手にも「どう成長したいですか」「どんなケアがしたいですか」と問いかけ、耳を傾けます。このような対話を通じて、お互いの価値観や方向性が合うかどうかを確認できます。
清潔感のある環境も重要です。施設の古さや新しさに関係なく、備品がきちんと整理されていること、水回りが清潔に保たれていること、職員の服装が乱れていないこと、休憩所や更衣室がキレイに使われていることなどが、求職者の印象を左右します。
あなたの事業所は、求職者にどんな第一印象を与えていますか?
採用成功のポイント④:中小事業所ならではの魅力をアピールする
大手介護事業所と比べて予算や知名度で劣る中小事業所。しかし、中小だからこそ持つ強みがあります。それを最大限にアピールすることが、採用成功の鍵となります。
関東地方のデイサービスでは、3ヶ月で5名の採用に成功した事例があります。彼らは「中小事業者の特性をよく理解していただき、大手にはない温かい職場環境を効果的にアピールする戦略を提案してもらえました」と語っています。
中小事業所の魅力として、以下のようなポイントが挙げられます。
- アットホームな職場環境(スタッフ同士の距離が近い)
- 個人の成長機会の多さ(様々な役割を担える)
- 意思決定の速さ(現場の声が反映されやすい)
- 地域密着型サービスの価値(地域との繋がりを実感できる)
- 利用者様との距離の近さ(より深い関係性を築ける)
これらの魅力を具体的なエピソードとともに伝えることで、求職者の心に響く求人になります。例えば、「先月、スタッフの提案から新しいレクリエーションが生まれ、利用者様に大好評でした」といった具体例があると説得力が増します。

社会福祉法人すこやか福祉会では、若手職員のアイデアを活かした採用活動を展開しています。YouTubeを活用した情報発信に力を入れ、実際の介護現場での取り組み事例紹介や各施設の紹介ムービーなど、学生や求職者に介護や事業所の魅力を伝えられるような内容の動画を公開しています。
このように、中小事業所ならではの「顔の見える採用活動」を心がけることで、大手にはない魅力を伝えることができます。
時には、「うちは小さな事業所だから…」と弱みに感じていることが、実は求職者にとっての強みになることもあるのです。
採用成功のポイント⑤:採用後のフォロー体制を整える
採用活動の成功は、内定を出すことではなく、採用した人材が定着し活躍することです。そのためには、入職後のフォロー体制を整えることが不可欠です。
新人が早期に退職してしまう主な理由として、「イメージと違った」「職場に馴染めなかった」「教育体制が整っていなかった」などが挙げられます。これらは事前の準備で防げるものばかりです。
採用に成功している事業所では、以下のような取り組みを行っています。
- 入職前の不安解消(内定から入職までの定期的な連絡)
- 丁寧なオリエンテーション(業務内容だけでなく、職場の文化や価値観も伝える)
- メンター制度(先輩スタッフが新人をサポートする体制)
- 定期的な面談(入職後1週間、1ヶ月、3ヶ月など節目での面談)
- 段階的な業務習得計画(無理なく成長できるステップの設計)
特に中小事業所では、一人ひとりに合わせたきめ細かいフォローが可能です。この強みを活かし、新人が安心して働ける環境を整えましょう。
南山城学園では、若手職員の育成を目的として、新卒採用に携わる魅力発信チームを結成しています。このチームのメンバーは、就職説明会や座談会への参加、大学の講義でのゲストスピーカーとしての講演、映像制作、内定者フォローなど入職から採用までの幅広いプロセスに携わっています。

就職説明会や内定者フォローでは、学生と属性の近い職員を引き合わせることで、一人ひとりの学生により合ったサポートを実現できています。こうした活動により、法人の方向性に共感した学生が応募してくるようになり、応募者の質が向上。ミスマッチが少なくなり、入職後の定着率も上がったそうです。
新人育成は一朝一夕にできるものではありません。計画的かつ継続的な取り組みが必要です。しかし、その努力は必ず人材の定着と成長につながり、結果的に採用コストの削減と組織の活性化をもたらします。
あなたの事業所では、新人が入職してからどのようなフォローを行っていますか?
中小介護事業所の採用を成功させるために
ここまで介護スタッフ採用成功の5つのポイントについてご紹介してきました。どれも即実践可能なものばかりです。
しかし、中小介護事業所の現場では「人手が足りないから採用活動に時間をかけられない」「採用のノウハウがない」といった悩みを抱えていることも多いでしょう。
そんな中小介護事業所の採用課題を解決するサービスとして「かいごのおたすけ採用隊」があります。月額10万円(税別・契約期間3ヶ月〜)で採用業務を完全代行し、初期費用無料、成果報酬無料、求人掲載費込みの明確な料金体系を提供しています。
「かいごのおたすけ採用隊」では、中小介護事業者が直面する採用課題(応募者不足、採用業務の時間不足、人材紹介会社の高額な紹介料、採用ノウハウ不足、採用業務の負担、効果的な採用戦略の欠如)に対して、3つのアプローチで解決策を提供しています。
- 戦略的求人設計:大手施設との差別化を図る独自の求人戦略
- 積極的スカウト活動:待ちの採用から攻めの採用へ
- 業界ネットワーク活用:全国の優良人材紹介会社とのパートナーシップ
サービス導入の流れは、無料相談・現状分析(1週間)→採用戦略策定(1週間)→求人掲載・スカウト開始(1週間)→応募者管理・面接調整(継続)→条件交渉・内定サポート(継続)→効果測定・改善提案(継続)となっています。
採用に成功している介護事業所に共通するのは、「人材確保を最重要課題として位置づけ、戦略的に取り組んでいる」という点です。自社だけで対応が難しい場合は、専門家の力を借りることも一つの選択肢といえるでしょう。
介護業界の人材不足は今後も続くと予想されます。だからこそ、今から採用活動を見直し、効果的な取り組みを始めることが重要です。本記事でご紹介した5つのポイントを参考に、あなたの事業所に合った採用戦略を構築してみてください。
介護の現場を支えるのは人です。その人材確保に成功することが、質の高いサービス提供の第一歩となるのです。
介護スタッフ採用でお悩みなら、ぜひ「かいごのおたすけ採用隊」にご相談ください。あなたの事業所に最適な採用戦略をご提案します。詳細はこちらから