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大企業のSNS採用事例7選|成功の秘訣と実践ポイント

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SNS採用とは?大企業が注目する理由

SNS採用とは、TwitterやInstagram、TikTokなどのSNSプラットフォームを活用して行う採用活動のことです。従来の採用手法とは異なり、SNSを通じて企業の魅力や社風を発信しながら、潜在的な応募者とコミュニケーションを取ることができます。

なぜ今、大企業がSNS採用に注目しているのでしょうか?

少子高齢化による労働人口の減少に伴い、求職者数よりも求人数が多い「売り手市場」が続いています。このような採用競争の激化により、従来の採用手法だけでは思うように人材を確保できないケースが増えているのです。

SNS採用の概念図

さらに、採用のメインターゲットである若年層の情報収集手段が変化しています。2025年の調査によると、新卒学生の約60%が就職活動においてSNSを活用して情報を集めているというデータがあります。一方で、SNSを採用に活用している企業は3割弱にとどまっており、SNS採用への参入は企業にとって大きなチャンスと言えるでしょう。

大企業がSNS採用に注目する最大の理由は、「潜在層へのアプローチ」が可能になる点です。従来の採用手法では、すでに就職・転職を考えている人材にしかリーチできませんでしたが、SNSを活用することで、まだ転職を積極的に考えていない優秀な人材にもアプローチできるようになりました。


大企業のSNS採用成功事例7選

それでは、実際に大企業がどのようにSNSを活用して採用成功を収めているのか、具体的な事例を見ていきましょう。各企業の特徴的な取り組みから、成功のポイントを探ります。

1. サイバーエージェント(Instagram活用事例)

サイバーエージェントは、Instagram採用において先駆的な存在です。同社の採用アカウントでは、社員の日常やオフィスの様子、イベント情報などをリアルタイムで発信しています。

特に効果的だったのは、「#今日のサイバー」というハッシュタグを使った社内の日常風景の投稿です。実際の業務風景や社員同士のコミュニケーションを見せることで、企業文化を視覚的に伝えることに成功しています。

モダンなオフィス環境でのチームミーティング風景

また、若手社員のキャリア形成ストーリーを定期的に紹介することで、入社後のキャリアパスをイメージしやすくしています。この取り組みにより、企業理念に共感する応募者が増加し、採用のミスマッチ防止にも貢献しています。

2. テレビ東京(X/旧Twitter活用事例)

テレビ東京は、X(旧Twitter)を活用した採用活動で注目を集めています。同社の採用アカウントでは、番組制作の舞台裏や社員インタビューなど、テレビ局ならではのコンテンツを発信しています。

特筆すべきは、視聴者からの質問に社員が直接回答する「#テレ東の中の人に聞いてみた」というハッシュタグを活用したQ&A企画です。放送業界に興味を持つ学生の疑問に答えることで、業界の実態を伝えるとともに、双方向のコミュニケーションを実現しています。

この取り組みにより、放送業界志望の学生からの応募が増加し、業界未経験者からも「テレビ東京で働きたい」という声が増えたと報告されています。

3. 伊藤忠商事(Facebook活用事例)

伊藤忠商事は、Facebookを活用した採用ブランディングで成功を収めています。同社のFacebookページでは、グローバルなビジネス展開や社会貢献活動、社員のキャリアストーリーなどを発信しています。

特に効果的だったのは、「朝型勤務」や「健康経営」など、同社の先進的な働き方改革の取り組みを積極的に発信したことです。これにより、ワークライフバランスを重視する若手人材からの支持を集めることに成功しました。

グローバルビジネスミーティングの様子

また、新入社員の海外赴任の様子をストーリー形式で発信するなど、商社ならではのグローバルな仕事の魅力を伝える工夫も見られます。この結果、海外志向の高い優秀な学生からの応募が増加したと報告されています。

4. DMMグループ(YouTube活用事例)

DMMグループは、YouTubeを活用した採用活動で成功を収めています。同社の採用チャンネルでは、社員インタビューや職種紹介、オフィスツアーなど、多様なコンテンツを公開しています。

最も反響が大きかったのは、「1日密着」シリーズです。エンジニアやマーケター、ディレクターなど、様々な職種の社員の1日に密着し、実際の業務内容や働き方を詳細に紹介しています。

どうですか?このような密着型コンテンツは、就職活動中の学生にとって非常に参考になりますよね。

この取り組みにより、職種への理解が深まり、明確な志望動機を持った応募者が増加。採用後のミスマッチも減少したと報告されています。

5. 大京警備保障(TikTok活用事例)

警備会社の大京警備保障は、TikTokを活用した採用活動で業界の常識を覆しました。同社は警備業界のイメージ改善と若手採用を目的に、TikTokでユニークな動画コンテンツの配信を開始しました。

警備員の日常業務を楽しく紹介する動画や、警備のプロフェッショナルとしての技術を披露する動画が若者を中心に人気を集め、アカウントのフォロワー数は急増しました。

スマートフォンでSNSを確認する若手ビジネスパーソン

「警備の仕事って実はこんなに奥が深いんだ」と思わず見入ってしまう内容で、業界のイメージ刷新に成功しました。

この結果、若年層からの応募が前年比300%増加し、採用コストの削減にも成功。警備業界という伝統的な業種でもSNSを活用した採用が効果的であることを証明した事例と言えるでしょう。

6. ニトリ(LINE活用事例)

家具・インテリア大手のニトリは、LINEを活用した採用活動で成功を収めています。同社は公式LINEアカウントを通じて、採用情報の配信やインターンシップの案内、就活相談などを行っています。

特に効果的だったのは、LINE上での1対1の就活相談サービスです。学生からの質問に採用担当者が直接回答することで、企業と学生の距離を縮めることに成功しました。

また、店舗見学会やインターンシップの案内をLINEで配信し、参加者を募集する取り組みも好評でした。LINEの即時性と高い開封率を活かし、効率的な情報発信を実現しています。

この結果、応募者数の増加だけでなく、インターンシップ参加者の本選考への歩留まり率も向上したと報告されています。

7. 山善(Instagram活用事例)

機械工具商社の山善は、BtoB企業ながらInstagramを活用した採用ブランディングで成功を収めています。同社は「#山善で働く人」というハッシュタグを使い、社員の日常や仕事の様子を発信しています。

BtoB企業は一般的に知名度が低く、事業内容が理解されにくいという課題がありますが、Instagramを通じて社員の生の声や働く環境を見せることで、企業の実態を伝えることに成功しました。

多様なSNSプラットフォームを活用した採用戦略

特に、若手社員が活躍している様子や、社内イベントの雰囲気を伝える投稿が好評で、「堅いイメージだった商社が意外と楽しそう」という反応を得ることができました。

この取り組みにより、BtoB企業でありながら若手人材からの応募が増加し、採用ブランディングの成功事例として業界内で注目されています。


SNS採用成功の秘訣3つ

ここまで大企業のSNS採用事例を見てきましたが、これらの成功事例から共通する秘訣を3つ抽出してみましょう。

1. ターゲットを明確にしたSNS選択と戦略設計

成功している企業に共通するのは、採用ターゲットを明確にし、そのターゲットが利用するSNSプラットフォームを選択している点です。各SNSには特性があり、ユーザー層も異なります。

例えば、Z世代をターゲットにするならTikTokやInstagram、ビジネスパーソンをターゲットにするならLinkedInやX(旧Twitter)が効果的です。ターゲットの年齢層、職種、興味関心に合わせたSNS選択が重要なのです。

私が実際に採用担当者と話した際も、「とりあえずSNSを始めてみた」という企業より、「誰に、何を、どのように伝えるか」を明確にした企業の方が成果を出していました。

また、ペルソナ(理想の応募者像)を具体的に設定し、そのペルソナに響くコンテンツを企画することも成功の鍵です。「20代前半の理系大学生で、技術に興味があり、ベンチャーマインドを持った人材」というように、具体的なイメージを持つことで、発信内容が明確になります。

2. 企業の実態を伝える「リアル」なコンテンツ

SNS採用で成功している企業の多くは、企業の実態をリアルに伝えるコンテンツを発信しています。採用サイトやパンフレットでは伝えきれない、社内の雰囲気や社員の生の声、日常の業務風景などを見せることで、応募者の共感を得ています。

特に効果的なのは以下のようなコンテンツです:

  • 社員の1日に密着したドキュメンタリー
  • 若手社員の成長ストーリー
  • 社内イベントやオフィスの様子
  • プロジェクトの裏側や苦労話
  • 社員同士の何気ない会話や交流

これらのコンテンツは、「この会社で働くとどんな感じなのか」をリアルに伝え、入社後のギャップを減らす効果があります。

あなたも就活中に「この会社の実態が知りたい」と思ったことはありませんか?

リアルなコンテンツは、企業と応募者の相互理解を促進し、採用のミスマッチを防ぐ効果があります。

3. 継続的な発信と双方向コミュニケーション

SNS採用で成果を出している企業は、継続的な情報発信と双方向コミュニケーションを大切にしています。単発的な投稿ではなく、計画的かつ定期的な発信を行うことで、フォロワーとの関係を構築しています。

また、コメントやダイレクトメッセージへの返信、質問への回答など、双方向のコミュニケーションを取ることで、応募者との距離を縮めています。

テレビ東京の「#テレ東の中の人に聞いてみた」やニトリのLINE相談サービスなど、応募者からの質問に直接答える取り組みは、企業への親近感を高め、応募意欲の向上につながっています。

SNSは一方的な情報発信の場ではなく、対話の場であることを意識した運用が成功の鍵となっています。


SNS採用の実践ポイント

ここまで見てきた成功事例と秘訣を踏まえて、実際にSNS採用を始める際の実践ポイントをご紹介します。

各SNSプラットフォームの特性を理解する

SNS採用を成功させるためには、各プラットフォームの特性を理解し、適切に活用することが重要です。主要SNSの特性は以下の通りです:

  • Instagram:20〜30代の若い層に人気。写真や動画がメインで、ビジュアルが重視されます。社内の雰囲気やイベント、働いている様子を視覚的に伝えるのに適しています。
  • X(旧Twitter):30〜40代のビジネスパーソンに人気。情報拡散力が高く、リアルタイム性があります。企業の最新情報や採用情報の発信に適しています。
  • Facebook:40〜50代のビジネスパーソンに人気。信頼性が高く、詳細な情報発信が可能です。企業の理念や事業内容、社会貢献活動などの発信に適しています。
  • LinkedIn:ビジネスに特化したSNSで、グローバル人材や専門職の採用に効果的です。職歴やスキルなどのビジネス情報が中心となります。
  • TikTok:10〜20代の若年層に人気。短尺動画がメインで、エンターテイメント性が重視されます。企業の魅力を楽しく伝えるのに適しています。
  • LINE:幅広い年齢層に普及。メッセージの開封率が高く、直接的なコミュニケーションが可能です。採用情報の配信や個別相談に適しています。

採用ターゲットに合わせて、最適なプラットフォームを選択しましょう。複数のSNSを併用する場合は、それぞれの特性を活かした差別化された発信が効果的です。

コンテンツカレンダーの作成と運用体制の構築

SNS採用を継続的に行うためには、コンテンツカレンダーの作成と運用体制の構築が欠かせません。

コンテンツカレンダーとは、「いつ、どのSNSで、どんな内容を発信するか」を計画したスケジュール表です。月単位や週単位で計画を立て、計画的な発信を行いましょう。

また、SNS運用の担当者を明確にし、投稿の承認フローや危機管理体制も整えておくことが重要です。特に大企業の場合、投稿内容のチェック体制を整備し、不適切な発信を防ぐ仕組みが必要です。

成功している企業では、採用担当者だけでなく、現場の社員も巻き込んだ運用体制を構築しているケースが多いです。現場の声を取り入れることで、より魅力的なコンテンツを生み出すことができます。

効果測定と改善サイクルの確立

SNS採用の効果を最大化するためには、定期的な効果測定と改善サイクルの確立が重要です。

具体的には、以下のような指標を定期的に測定し、PDCAサイクルを回しましょう:

  • フォロワー数の推移
  • 投稿ごとのエンゲージメント率(いいね、コメント、シェア数など)
  • リーチ数(投稿が表示された人数)
  • クリック数(リンクがクリックされた回数)
  • 応募数(SNS経由の応募者数)
  • 採用数(SNS経由の採用者数)

これらの指標を分析し、「どのような投稿が反応が良かったか」「どの時間帯の投稿が効果的か」などを把握することで、より効果的なSNS運用が可能になります。

また、応募者アンケートなどを通じて、「どのSNSを見て応募したか」「SNSのどのような情報が役立ったか」などを調査することも有効です。


SNS採用のメリットとデメリット

最後に、SNS採用を検討する際に押さえておきたいメリットとデメリットを整理しておきましょう。

SNS採用のメリット

SNS採用には以下のようなメリットがあります:

  • 潜在層へのアプローチが可能:就職・転職サイトでは届かない、転職を積極的に考えていない優秀な人材にもアプローチできます。
  • 採用ブランディングの強化:企業の魅力や社風を継続的に発信することで、企業イメージの向上につながります。
  • 採用ミスマッチの防止:企業の実態をリアルに伝えることで、入社後のギャップを減らし、早期離職の防止につながります。
  • コストパフォーマンスの高さ:SNSアカウントの運用自体は基本的に無料で、従来の採用手法と比較してコストを抑えられます。
  • 拡散力の高さ:魅力的なコンテンツはシェアされることで、想定以上のリーチを獲得できる可能性があります。
  • 双方向コミュニケーション:応募者との対話が可能で、企業と応募者の相互理解を深めることができます。

SNS採用のデメリット

一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります:

  • 継続的な運用負荷:効果を出すためには継続的な投稿と管理が必要で、人的リソースが必要になります。
  • 炎上リスク:不適切な投稿や対応によって炎上する可能性があり、企業イメージを損なうリスクがあります。
  • 効果が出るまでに時間がかかる:フォロワーの獲得や認知度向上には時間がかかり、即効性は期待できません。
  • プラットフォームの変化:SNSの仕様やアルゴリズムは頻繁に変更されるため、常に最新情報をキャッチアップする必要があります。
  • ターゲット層の偏り:SNSユーザーの年齢層や職種には偏りがあり、全ての採用ターゲットにリーチできるわけではありません。

これらのメリットとデメリットを理解した上で、自社の採用戦略に合わせたSNS活用を検討することが重要です。

まとめ:SNS採用で採用活動を変革する

本記事では、大企業のSNS採用事例7選と成功の秘訣、実践ポイントについてご紹介しました。

SNS採用は、従来の採用手法では届かなかった潜在層へのアプローチを可能にし、企業の魅力をリアルに伝えることで採用ミスマッチを防止する効果があります。

成功の秘訣は、①ターゲットを明確にしたSNS選択と戦略設計、②企業の実態を伝える「リアル」なコンテンツ、③継続的な発信と双方向コミュニケーションの3点です。

SNS採用を実践する際は、各プラットフォームの特性を理解し、コンテンツカレンダーの作成と運用体制の構築、効果測定と改善サイクルの確立を行うことが重要です。

採用市場の競争が激化する中、SNS採用は企業の採用活動に新たな可能性をもたらします。本記事で紹介した事例や秘訣を参考に、自社に合ったSNS採用戦略を構築してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

介護・建設・製造業をはじめとした中小企業の採用支援に従事。人材不足に悩む現場に対し、求人広告・SNS採用・採用代行(RPO)などを組み合わせた戦略的な採用コンサルティングを提供。現場理解とデジタル活用を強みに、企業の持続的な人材確保を支援しています。

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