
介護業界の採用市場の現状と課題
介護業界の採用市場は近年、かつてないほど厳しい状況に直面しています。2025年現在、介護職の有効求人倍率は3.84倍と、全業種平均の1.13倍と比較して約3.39倍も採用が難しい状況です。
この数字が意味するのは、介護事業者が1人の人材を採用するためには、約4つの求人を出さなければならないという厳しい現実です。しかも、この傾向は年々悪化しており、10年前と比較すると求人倍率は約2.09倍に悪化しています。

なぜこのような状況に陥っているのでしょうか?主な原因としては、少子高齢化による介護需要の増加と生産年齢人口の減少が挙げられます。介護施設の増加に求職者の数が追いついていないのです。
さらに、介護職は身体的・精神的に負荷の大きい仕事でありながら、給与水準が全体的に低いという構造的な課題も抱えています。特に初任者研修修了レベルや未経験者の場合、他業種のパート・アルバイトと比べて時給が同等またはそれ以下であることも少なくありません。
応募率が低い介護求人の特徴と改善ポイント
介護の求人に応募が集まらない原因には、いくつかの典型的なパターンがあります。これらを理解し改善することが、応募率向上の第一歩です。
まず挙げられるのが「応募条件が厳しすぎる」という点です。「有資格者のみ」「経験3年以上必須」などの条件設定は、未経験者や主婦層、ブランクのある求職者を遠ざけてしまいます。介護業界では現場のOJTや研修が整っている施設も多いため、応募時点でのスキルにこだわりすぎると、採用の間口が狭くなってしまうのです。
また「職場と仕事内容の魅力が伝わっていない」ことも大きな要因です。多くの求人票では「施設での介護業務」とだけ記載されていても、どんな利用者がいて、どのような介護サービスを行うのか、どんなチーム体制で動いているのかがわからなければ、求職者は具体的な働くイメージを持ちにくいのです。

給与面などの待遇が職務内容に見合っていないことも応募率低下の原因です。介護職は責任が重い仕事であるにもかかわらず、給与水準が他業種と比べて低いと感じる求職者も少なくありません。
さらに、応募後の対応が遅いことも問題です。人材不足の中、求職者は複数の求人に同時に応募していることが多いため、連絡が遅れると他社に人材を取られてしまう可能性が高まります。
応募率アップのための10の実践戦略
ここからは、実際に介護現場で効果を上げている応募率向上のための10の戦略をご紹介します。これらは単なる理論ではなく、現場で実際に効果が確認された方法です。
1. 求人票の全面的な見直し
求人票は応募者が最初に目にする「施設の顔」です。多くの施設では求人票の作成に十分な時間をかけていないことが多いのですが、実はここが最も重要なポイントなのです。
「施設での介護業務全般」といった抽象的な表現ではなく、「明るい雰囲気のデイサービスで、平均介護度2.3の利用者様10名に対してスタッフ4名体制でケアを行います」など、具体的な記載に変更するだけで応募率は大きく変わります。
また、求人のタイトルも重要です。「介護スタッフ募集」という一般的なタイトルよりも、「未経験歓迎!笑顔あふれるアットホームな職場で介護の仕事を始めませんか」といった魅力が伝わるタイトルの方が、クリック率・応募率ともに高くなります。
2. 応募条件の緩和と育成体制の強化
「未経験者歓迎」「資格取得支援あり」といった表記は、応募のハードルを下げる効果があります。特に介護業界では人材不足が深刻なため、未経験者を育てる体制を整えることが長期的な人材確保につながります。
ある関東地方のデイサービス(従業員15名)では、「資格・経験不問、人柄重視で採用します」という表記に変更し、研修制度を充実させたところ、3ヶ月で5名の採用に成功しました。

3. 職場の雰囲気が伝わる写真・動画の活用
求人票に職場の写真や動画を添付することで、応募者は働く環境をイメージしやすくなります。特に、スタッフの笑顔や利用者との交流シーン、清潔感のある施設内部の写真は、職場の雰囲気を効果的に伝えることができます。
写真や動画を追加するだけで応募率が1.5〜2倍になったという事例も珍しくありません。ただし、プライバシーに配慮し、利用者の顔が特定できないようにするなどの注意が必要です。
4. 給与以外の魅力・メリットの明確化
給与だけで他社と差別化するのは難しいため、それ以外の魅力を明確に伝えることが重要です。例えば、「有給休暇取得率95%」「産休・育休復帰率100%」「残業月平均3時間以下」など、具体的な数字で働きやすさをアピールしましょう。
また、キャリアアップ制度や資格取得支援、独自の福利厚生なども魅力的に感じる求職者は多いです。関西地方の特別養護老人ホーム(従業員45名)では、「資格取得費用全額施設負担」「社員旅行年1回」などの特典を前面に出したところ、応募数が増加し、採用業務時間を50%削減できました。
5. スカウト機能の積極活用
多くの求人サイトには、求職者を直接スカウトできる機能があります。待ちの姿勢ではなく、攻めの採用に転換することで、応募率を高めることができます。
スカウトメッセージを送る際は、「貴方のプロフィールを拝見し、ぜひ当施設で力を発揮していただきたいと思いました」など、個別にカスタマイズしたメッセージを送ることが効果的です。テンプレートメッセージよりも、個人に向けたメッセージの方が返信率は3倍以上高くなるというデータもあります。
求人媒体の選定と効果的な活用法
介護業界には様々な求人媒体がありますが、それぞれ特性が異なります。自施設のターゲットとなる人材がどの媒体を利用しているかを見極め、最適な媒体を選ぶことが重要です。
6. ターゲット別の求人媒体選定
未経験者を採用したい場合は総合求人サイト、経験者や有資格者を採用したい場合は介護専門の求人サイトというように、ターゲットに合わせて媒体を選ぶことが効果的です。
また、主婦層をターゲットにするなら「しゅふJOB」のような主婦・主夫に特化した求人サイトも効果的です。同サイトでは、掲載4日で10名の応募実績もあるとのことです。

7. 求人サイトのUI改善による応募率向上
求人サイト上での掲載方法も応募率に大きく影響します。「みんなの介護求人」では、2025年2月に求人票ページのユーザーインターフェース(UI)を全面改修しました。
この改修では、「応募」ボタンの位置やデザインを見直し、ページ閲覧開始時から目に入りやすく、行動に移しやすい設計へと刷新。スマートフォンとパソコン、それぞれの閲覧環境に応じて表示位置やレイアウトの最適化も実施しました。「急募」求人については視覚的に分かりやすいラベルを加えるなど、重要情報がひと目で伝わる工夫も施されています。
このようなUI改善によって、求人情報の閲覧から応募までのプロセスが簡素化され、求職者が迷わず次のステップへ進めるようになりました。特に、はじめて介護業界に挑戦する方や、時間の限られた在職中の方にとって、短時間で求人を見つけ、応募できることは大きなメリットです。
8. 複数媒体の組み合わせによる相乗効果
一つの求人媒体だけでなく、複数の媒体を組み合わせることで、より広い層にアプローチすることができます。例えば、介護専門サイトとハローワーク、地域情報誌を組み合わせるなどの方法があります。
ただし、管理の手間やコストも増えるため、応募者の管理システムを導入するなど、効率化を図ることも重要です。九州地方のグループホーム(従業員8名)では、複数媒体を活用しつつ、応募者管理システムを導入したことで、2ヶ月で2名の採用に成功しました。
外国人材の活用と採用戦略
介護業界の人手不足を解決する有効な手段として、外国人材の活用が注目されています。実際に、医療・福祉分野で就労する外国人労働者数は、過去6年間で3.48倍にまで増加しました。平成30年には約2万6千人でしたが、令和5年には9万人を突破しています。
9. 外国人材採用のための体制整備
外国人材を採用する際は、言語サポートや生活支援、文化的な配慮など、受け入れ体制の整備が不可欠です。また、在留資格によって働ける範囲や条件が異なるため、事前に十分な知識を得ておくことが重要です。
介護分野で活躍する外国人材の主な在留資格には、「介護」「特定技能」「技能実習」「EPA」などがあります。それぞれ要件や制約が異なるため、自施設に合った制度を選ぶ必要があります。

外国人材の採用に成功している施設では、日本語教育支援や住居の確保、同国出身者の複数採用による孤立防止など、きめ細かいサポート体制を整えています。こうした取り組みが、外国人材の定着率向上にもつながっています。
外国人材の採用は単なる人手不足の解消だけでなく、多様な文化や価値観を取り入れることで、職場に新たな活力をもたらす効果もあります。利用者にとっても、異なる文化に触れる機会となり、施設の雰囲気が明るくなったという声も多く聞かれます。
10. 採用業務の専門家への委託
採用業務を専門家に委託することで、効率的かつ効果的な人材確保が可能になります。特に中小規模の介護事業者では、採用にかける時間や専門知識が限られていることが多いため、外部の専門サービスを活用することで大きな効果が期待できます。
「かいごのおたすけ採用隊」のような中小介護事業者専門の採用課題解決サービスでは、月額10万円(税別・契約期間3ヶ月〜)で採用業務を完全代行しています。初期費用無料、成果報酬無料、求人掲載費込みの明確な料金体系で、戦略的求人設計、積極的スカウト活動、業界ネットワーク活用の3つのアプローチで採用課題を解決しています。
このようなサービスを利用することで、採用業務の負担軽減だけでなく、専門的なノウハウを活かした効果的な採用活動が可能になります。実際に、関東地方のデイサービスでは3ヶ月で5名の採用に成功、関西地方の特別養護老人ホームでは採用業務時間を50%削減、九州地方のグループホームでは2ヶ月で2名の採用に成功したという実績があります。
応募から入職までのフォロー体制の構築
応募率を上げるだけでなく、応募者を実際の入職につなげるためのフォロー体制も重要です。応募から入職までの一連のプロセスをスムーズに進めることで、内定辞退を防ぎ、採用成功率を高めることができます。

まず重要なのは、応募後の迅速な対応です。応募から24時間以内に連絡を取ることで、応募者の熱意が冷めないうちに次のステップに進めることができます。また、面接日程の調整では、応募者の都合を最大限考慮し、複数の候補日を提示するなど、柔軟な対応が求められます。
面接当日は、施設の雰囲気が伝わるよう、実際の職場見学を組み込むことも効果的です。また、面接官だけでなく、現場のスタッフとの交流の機会を設けることで、より具体的な仕事のイメージを持ってもらうことができます。
内定後も、入職日までの間に定期的に連絡を取り、不安や疑問に答える体制を整えることが、内定辞退の防止につながります。入職前研修や職場見学会などを実施している施設もあります。
こうしたきめ細かいフォローが、応募者に「大切にされている」という印象を与え、入職後の定着率向上にもつながるのです。
まとめ:持続可能な採用戦略の構築に向けて
介護業界の採用市場は厳しさを増していますが、適切な戦略を講じることで応募率を高め、必要な人材を確保することは可能です。本記事で紹介した10の戦略は、どれも現場で実際に効果が確認されたものばかりです。
重要なのは、単発的な対策ではなく、持続可能な採用戦略を構築することです。求人票の見直しから始まり、求人媒体の選定、外国人材の活用、そして応募後のフォロー体制まで、一貫した戦略を持つことが成功の鍵となります。
また、採用と定着は表裏一体であることを忘れてはなりません。いくら採用に成功しても、職場環境や待遇に問題があれば、すぐに離職してしまいます。働きやすい職場づくりと採用戦略を両輪で進めることが、長期的な人材確保につながるのです。
介護業界の人材不足は今後も続くと予想されますが、だからこそ他社と差別化できる採用戦略が重要になります。自施設の強みを活かした独自の採用戦略を構築し、介護業界の人材確保という課題に立ち向かいましょう。
中小介護事業者の方々にとっては、採用業務の負担は大きいものです。自社での取り組みが難しい場合は、「かいごのおたすけ採用隊」のような専門サービスの活用も検討してみてはいかがでしょうか。専門家のサポートを受けることで、効率的かつ効果的な採用活動が可能になります。
詳しい情報や導入事例については、かいごのおたすけ採用隊のサイトをご覧ください。介護人材の確保という課題解決に向けて、専門家がサポートいたします。