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介護事業者の採用コスト削減方法7選|効率化の秘訣

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介護業界の人材不足は年々深刻化しています。厚生労働省の調査によれば、2025年には約32万人、2040年には約69万人の介護人材が追加で必要になるとされています。そんな状況下で、多くの介護事業者が採用活動に多額のコストをかけているものの、なかなか人材確保ができていないという課題を抱えています。

採用にかかるコストを削減しながら、効果的に人材を確保するにはどうすればよいのでしょうか。

本記事では、介護事業者が実践できる採用コスト削減の具体的な方法を7つご紹介します。人材確保の効率化を図りながら、経営の安定化にもつながる秘訣をお伝えしていきます。


目次

介護事業者の採用コストの現状と課題

まずは介護事業者が直面している採用コストの現状と課題について見ていきましょう。

介護職員を1人採用するためにかかる費用(採用単価)は、正社員で約30〜50万円、アルバイトでも5〜10万円程度と言われています。この金額は経営規模や地域の需給バランスなどによって大きく変動します。

採用コストには大きく分けて「外部コスト」と「内部コスト」の2種類があります。外部コストとは求人サイトへの掲載料や人材紹介会社への支払いなど、外部に支払う費用のことです。一方、内部コストは採用業務に携わる社員の人件費や面接にかかる時間的コストなどを指します。

介護事業者の採用コスト内訳図

介護事業者が抱える採用コストに関する主な課題は以下の通りです。

  • 人材紹介会社の高額な紹介料:年収の30〜35%が相場で、年収300万円の場合約90〜105万円もの費用がかかります
  • 求人広告の効果が不安定:高額な掲載料を支払っても応募が集まらないケースが多い
  • 採用業務の負担増大:本来の介護業務に専念できず、スタッフの負担が増加
  • ミスマッチによる早期離職:採用コストをかけても早期に離職されると二重の損失に

これらの課題を解決するためには、効率的な採用戦略の構築が不可欠です。次からは具体的なコスト削減方法を見ていきましょう。


採用コスト削減方法①:リファラル採用の活用

最初にご紹介するのは「リファラル採用」です。これは自社の従業員から知人や友人を紹介してもらう採用方法で、採用コスト削減に非常に効果的です。

リファラル採用の最大のメリットは、求人広告費や人材紹介会社への手数料が不要なこと。また、既存スタッフが職場環境や仕事内容をあらかじめ説明しているため、入職後のミスマッチが少なく、定着率も高い傾向にあります。

リファラル採用を成功させるポイント

ただ単に「知り合いを紹介して」と言うだけでは効果は限定的です。以下のポイントを押さえましょう。

  • インセンティブの設定:紹介者に対して報奨金や特別休暇などの特典を用意する
  • 紹介制度の明確化:紹介から採用までのプロセスや条件を明確にする
  • 定期的な告知:社内会議やメールで定期的に制度を周知する
  • 紹介しやすい環境づくり:職場の良さを実感できる環境を整える

あるデイサービスでは、紹介制度を活性化させるため、紹介者に対して紹介者が入職して3ヶ月経過後に3万円、6ヶ月後にさらに2万円の報奨金を支給する仕組みを導入しました。その結果、半年で5名の採用に成功し、採用単価を従来の3分の1に抑えることができたそうです。

リファラル採用の成功事例イメージ

リファラル採用は即効性のある方法ではありませんが、長期的に見れば採用コストを大幅に削減できる効果的な手法です。

どうですか?あなたの施設でも実践できそうですか?


採用コスト削減方法②:無料求人サービスの活用

次にご紹介するのは、無料で利用できる求人サービスの活用です。有料の求人サイトだけに頼らず、無料サービスを組み合わせることで、採用コストを効果的に削減できます。

活用すべき主な無料求人サービス

  • ハローワーク:国が運営する職業紹介サービスで、求人掲載が無料
  • Indeed:基本掲載が無料の求人検索エンジン(スポンサー求人は有料)
  • 自治体の就職支援サイト:地域によっては介護職専門の求人サイトを無料で提供
  • SNS(Facebook、Twitter、Instagram):企業アカウントから求人情報を発信

特にIndeedは無料掲載でも多くの応募が見込めるため、活用価値が高いです。ただし、競合他社の求人も多く表示されるため、求人タイトルや内容の工夫が必要になります。

無料求人サービスを効果的に活用するコツ

無料だからといって手を抜くと効果は半減します。以下のポイントを押さえましょう。

  • 求人内容の差別化:他社との違いを明確に打ち出す
  • 具体的な職場環境の説明:写真や動画を活用して職場の雰囲気を伝える
  • 応募者への迅速な対応:無料サービスでも応募者対応は丁寧に
  • 複数の無料サービスの併用:それぞれの特性を活かした使い分け

関西地方のある特別養護老人ホームでは、Indeedの無料掲載とハローワークを併用することで、月間の採用広告費を50%削減しながらも、必要な人材を確保することに成功しています。

無料サービスだけで全ての採用ニーズを満たすのは難しいかもしれませんが、有料サービスと組み合わせることで、全体の採用コストを効果的に削減できます。


採用コスト削減方法③:採用業務の効率化・自動化

採用コストの中で見落とされがちなのが「内部コスト」です。採用業務に費やす時間や人的リソースを削減することも、重要なコスト削減につながります。

採用業務の効率化イメージ

採用業務効率化のポイント

  • 応募者管理システムの導入:応募者情報の一元管理で業務効率化
  • 面接スケジュール調整の自動化:オンライン予約システムの活用
  • 選考プロセスの簡略化:必要最低限の選考ステップに絞る
  • 採用担当者の明確化:責任と権限を集中させて効率化

特に注目したいのが応募者管理システム(ATS)の導入です。これにより、応募者情報の管理、選考ステータスの追跡、面接日程の調整などを効率化できます。初期投資は必要ですが、長期的に見れば人件費の削減につながります。

採用業務の外部委託という選択肢

採用業務の一部または全部を外部委託する方法も検討価値があります。特に中小規模の介護事業者では、専任の採用担当者を置くよりも、専門業者に委託したほうがコスト効率が良い場合があります。

「かいごのおたすけ採用隊」のような中小介護事業者専門の採用代行サービスでは、月額10万円(税別)で採用業務を完全代行し、初期費用無料、成果報酬無料、求人掲載費込みの明確な料金体系を提供しています。このようなサービスを利用することで、採用業務の内部コストを大幅に削減できる可能性があります。

九州地方のあるグループホーム(従業員8名)では、採用代行サービスの導入により、採用業務に費やしていた時間を週10時間から1時間に削減。その結果、管理者が本来の業務に集中できるようになり、2ヶ月で2名の採用にも成功しました。


採用コスト削減方法④:採用ミスマッチの防止

採用コストを考える上で忘れてはならないのが「採用後のコスト」です。せっかく採用しても早期に離職されてしまうと、再度採用活動を行う必要があり、コストが倍増してしまいます。

ミスマッチによる早期離職を防ぐことは、採用コスト削減の重要な要素なのです。

採用ミスマッチを防ぐための具体策

  • 求人内容の正確な記載:業務内容や勤務条件を誇張せず正確に伝える
  • 職場見学・体験の実施:入職前に実際の職場環境を体験してもらう
  • 価値観のマッチング:理念や方針に共感できる人材を選考する
  • 入職後のフォロー体制:メンター制度など定着支援の仕組みを整える

特に効果的なのが「職場体験」の実施です。実際の業務を体験してもらうことで、応募者自身が「この職場で働けるか」を判断できます。また、採用側も実際の仕事ぶりを見ることができるため、双方にとってミスマッチを防ぐ効果があります。

職場体験の様子

関東地方のあるデイサービス(従業員15名)では、採用プロセスに半日の職場体験を組み込むことで、入職後3ヶ月以内の離職率を20%から5%に削減することに成功しました。これにより再採用のコストを大幅に削減できたそうです。

採用ミスマッチの防止は、単に離職率を下げるだけでなく、職場の雰囲気改善やサービス品質の向上にもつながる重要な取り組みです。


採用コスト削減方法⑤:自社ブランディングの強化

求人広告に頼らず「応募が自然に集まる」状態を作ることも、長期的な採用コスト削減につながります。そのカギとなるのが自社ブランディングの強化です。

介護事業者のブランディング強化策

  • 自社ウェブサイトの充実:職場の雰囲気や理念を伝えるコンテンツを充実させる
  • SNSの積極活用:日常の業務風景や職員の声を定期的に発信
  • 地域イベントへの参加:地域社会との接点を増やし認知度を高める
  • スタッフの働きがいを高める取り組み:働きやすい職場づくりを外部にアピール

求職者は応募先の情報を収集するため、まず企業のウェブサイトを調べる傾向にあります。サイトのデザインが見づらかったり、内容が薄かったりすると、そこで応募する可能性は大きく下がってしまいます。

ウェブサイトには施設の雰囲気や経営理念、職員の働く様子などを盛り込み、求職者が理解しやすい内容を掲載しましょう。定期的に更新することで、施設の雰囲気が伝わり、ミスマッチの防止やイメージアップにつながります。

SNSを活用した情報発信も効果的です。InstagramやFacebookで職場の日常や研修の様子、スタッフの声などを発信することで、求職者に「この職場で働くイメージ」を持ってもらえます。

ある介護施設では、Instagramで職員の誕生日会や研修風景、利用者との交流の様子などを定期的に投稿。その結果、「この職場で働きたい」という自発的な応募が増え、求人広告費を前年比30%削減できたそうです。

自社ブランディングは即効性はありませんが、長期的に見れば採用コストを大幅に削減できる取り組みです。


採用コスト削減方法⑥:人材紹介会社の戦略的活用

人材紹介会社は採用単価が高いイメージがありますが、戦略的に活用すれば採用コスト全体の最適化につながります。

人材紹介会社を効果的に活用するポイント

  • 複数社の比較検討:料金体系や過去の実績を比較して選定
  • 特定職種や条件に絞った依頼:自社で採用が難しいポジションに限定
  • 紹介会社との密なコミュニケーション:求める人材像を明確に伝える
  • 成功報酬型の契約形態を選ぶ:採用が決まらなければ費用は発生しない

人材紹介会社の紹介料は一般的に年収の30〜35%程度と高額ですが、採用難易度の高いポジションや急ぎの採用には効果的です。また、紹介会社によるスクリーニングで質の高い候補者を紹介してもらえるメリットもあります。

コスト削減の観点からは、全ての採用を紹介会社に依頼するのではなく、自社で採用が難しい特定のポジション(例:ケアマネジャーや看護師など専門職)に絞って依頼するのがおすすめです。

また、「かいごのおたすけ採用隊」のような中小介護事業者専門の採用代行サービスでは、業界ネットワークを活用して、中小事業者の価値を理解した紹介会社から質の高い人材を継続的に紹介するサービスも提供しています。このようなサービスを活用することで、紹介会社との交渉や管理の手間を省きながら、効率的に人材を確保できる可能性があります。

採用代行サービスのイメージ

採用コスト削減方法⑦:助成金・補助金の活用

最後にご紹介するのは、国や自治体が提供する助成金・補助金の活用です。介護人材の確保は国の重要課題であるため、さまざまな支援制度が用意されています。

介護事業者が活用できる主な助成金・補助金

  • 人材確保等支援助成金:介護・保育分野の人材確保のための助成金
  • キャリアアップ助成金:非正規雇用の処遇改善を行う事業主向けの助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金:高齢者や障害者など就職困難者の雇用に対する助成金
  • 地域医療介護総合確保基金による補助金:都道府県ごとに実施される介護人材確保の取り組みへの補助

これらの制度を活用することで、採用活動や人材育成にかかるコストの一部を補填できる可能性があります。ただし、申請条件や必要書類が複雑なケースも多いため、事前に詳細を確認しておくことが重要です。

例えば、「人材確保等支援助成金(介護・保育分野)」では、介護事業者が行う採用や定着に関する取り組みに対して助成が受けられます。採用ツールの作成費用や就職説明会の開催費用なども対象となるため、採用コスト削減に直接つながります。

助成金・補助金の情報は定期的に更新されるため、厚生労働省や都道府県のウェブサイト、または社会保険労務士などの専門家に相談して最新情報を入手することをおすすめします。


まとめ:採用コスト削減と人材確保の両立を目指して

介護事業者の採用コスト削減方法として、以下の7つをご紹介しました。

  • ①リファラル採用の活用
  • ②無料求人サービスの活用
  • ③採用業務の効率化・自動化
  • ④採用ミスマッチの防止
  • ⑤自社ブランディングの強化
  • ⑥人材紹介会社の戦略的活用
  • ⑦助成金・補助金の活用

これらの方法は単独でも効果がありますが、複数の方法を組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。重要なのは、単に採用コストを削減するだけでなく、「適切な人材を確保する」という本来の目的を見失わないことです。

また、採用コスト削減と並行して、既存スタッフの定着率向上にも取り組むことが重要です。離職率が高ければ、いくら採用コストを削減しても、常に新しい人材を採用し続ける必要があり、結果的にコスト高になってしまいます。

介護人材の確保は今後も重要な経営課題であり続けるでしょう。しかし、本記事でご紹介した方法を実践することで、採用コストを適正化しながら、必要な人材を確保することは十分に可能です。

人材確保にお悩みの介護事業者様は、まずは自社の採用プロセスを見直し、どの部分にコスト削減の余地があるか検討してみてはいかがでしょうか。

中小介護事業者専門の採用課題解決サービス「かいごのおたすけ採用隊」では、採用業務の完全代行により、採用コストの削減と人材確保の両立をサポートしています。採用でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

かいごのおたすけ採用隊の詳細はこちら

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