
介護業界の人手不足は年々深刻化しています。厚生労働省の調査によれば、介護関係職種の有効求人倍率は右肩上がりで、2025年には約34万人の介護人材が不足すると予測されています。
そんな中、応募者を効率的に管理できるかどうかが、採用成功の鍵を握っているのです。
あなたは介護施設の採用担当者として、日々の業務に追われながら採用活動も並行して行わなければならない状況ではありませんか?せっかく応募があっても、対応が遅れて人材を逃してしまった経験はないでしょうか。
この記事では、介護職採用における応募者管理を効率化するための実践的なテクニックを紹介します。人手不足の時代だからこそ、一人でも多くの優秀な人材を確保するために、ぜひ参考にしてみてください。
介護職の採用管理が難しい理由
なぜ介護職の応募者管理は難しいのでしょうか。その背景には、業界特有の課題があります。
介護業界では慢性的な人手不足により、応募があれば迅速に対応する必要があります。しかし、日々の介護業務に追われる中で、応募者への連絡や面接日程の調整、選考状況の管理などを適切に行うのは容易ではありません。

また、複数の求人媒体を利用している場合、応募情報が分散してしまい、管理が煩雑になりがちです。「あの応募者はどの媒体からの応募だったっけ?」「この人とはどこまで連絡を取ったっけ?」といった混乱が生じることも少なくありません。
さらに、介護職の採用では資格や経験、シフト希望など確認すべき項目が多く、情報管理の複雑さも課題となっています。
私自身、複数の介護施設で採用担当を経験してきましたが、応募者管理の煩雑さに頭を抱えた日々は数知れません。
どうすれば効率的に応募者を管理し、質の高い人材を確保できるのでしょうか?
応募情報の一元管理システムの構築
応募者管理の第一歩は、情報の一元化です。
複数の求人媒体からの応募情報を一箇所に集約することで、応募者の状況を瞬時に把握できるようになります。具体的には、エクセルやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを活用するか、専用の採用管理システムを導入することが効果的です。

採用管理システムとは、応募者情報の管理から選考プロセスの進捗管理、面接スケジュールの調整まで、採用業務全般をサポートするツールです。中小規模の介護施設でも導入しやすい月額制のサービスが増えています。
応募者情報の一元管理は、単なる効率化ではなく、人材獲得の戦略的アプローチの第一歩なのです。
ある特別養護老人ホームでは、採用管理システムを導入したことで、応募者への初回連絡までの時間が平均2日から数時間に短縮されました。この迅速な対応が功を奏し、内定承諾率が1.5倍に向上したのです。
管理すべき主な情報
効率的な応募者管理のためには、以下のような情報を一元的に管理することが重要です:
- 基本情報(氏名、連絡先、資格など)
- 応募経路(どの求人媒体から応募があったか)
- 選考ステータス(書類選考中、面接日程調整中、内定など)
- コミュニケーション履歴(いつ、どのような連絡をしたか)
- 面接評価(面接官からのフィードバック)
あなたの施設ではどのように応募情報を管理していますか?バラバラの管理では、優秀な人材を取りこぼしているかもしれません。
今日から始められる一元管理の第一歩は、シンプルなエクセルシートの作成です。複雑なシステムがなくても、基本情報と選考状況を一覧化するだけで、大きな改善が見込めます。
応募者対応の自動化と迅速化
応募があった際の初期対応を自動化することで、応募者を待たせることなく選考プロセスを進められます。
応募者対応の自動化には、次のような方法があります:
- 応募受付の自動返信メール設定
- 選考ステータスに応じたメールテンプレートの作成
- 面接日程調整ツールの活用
- リマインダー機能の設定

デイサービスを運営するA事業所では、応募者への自動返信メールに「24時間以内に担当者から連絡します」と明記し、実際に迅速に対応することで、応募者からの好印象を獲得しています。また、面接日程調整ツールを導入したことで、担当者の業務時間が週あたり約5時間削減されました。
特に効果的なのが面接日程調整の自動化です。従来のように電話やメールでのやり取りを繰り返す代わりに、候補日時をリスト化したURLを送信し、応募者自身に都合の良い時間を選んでもらうシステムを活用すれば、大幅な時間短縮が可能です。
私が以前勤めていた介護施設では、面接日程調整に平均して1人あたり5〜6回のやり取りが必要でした。自動化ツールの導入後は、ほとんどの場合1回のやり取りで完了するようになり、採用担当者の負担が大きく軽減されました。
あなたは応募者からの連絡にどれくらいの速さで返信できていますか?
メールテンプレートの活用
応募者とのコミュニケーションを効率化するために、状況別のメールテンプレートを用意しておくことも有効です。例えば:
- 応募受付確認メール
- 書類選考通過連絡
- 面接日程調整メール
- 内定通知メール
- お断りメール
テンプレートを使用する際は、応募者の名前や応募職種など、個人に合わせた情報を挿入することで、自動化しながらも丁寧な対応を心がけましょう。
選考プロセスの標準化と可視化
選考プロセスを標準化することで、採用業務の効率化と質の向上を同時に実現できます。
標準化のポイントは、明確な選考基準と評価シートの作成です。介護職に必要なスキルや人柄、施設の理念との適合性などを評価項目として具体化し、面接官による評価のブレを最小限に抑えます。

選考プロセスの可視化も重要です。カンバン方式のボードを使って、応募者がどの選考段階にいるのかを一目で把握できるようにすると、進捗管理が容易になります。
私の経験では、選考プロセスを「応募受付→書類選考→一次面接→二次面接→内定」といった明確なステップに分け、各段階での担当者や期限を明確にすることで、採用業務の滞りが大幅に減少しました。
グループホームを運営するB法人では、選考基準を明確化し、評価シートを導入したことで、採用後のミスマッチが40%減少したという事例もあります。
評価基準の明確化
介護職の採用において効果的な評価基準には、以下のような項目が含まれます:
- コミュニケーション能力(利用者や家族、同僚との関わり方)
- 介護に対する姿勢や価値観(なぜ介護の仕事を選んだのか)
- チームワーク(協調性、報告・連絡・相談の習慣)
- ストレス耐性(困難な状況への対処法)
- 学習意欲(成長への意欲、新しいことへの取り組み姿勢)
これらの基準を5段階評価などで数値化し、面接官間で共有することで、より客観的な評価が可能になります。
あなたの施設では、どのような基準で応募者を評価していますか?
採用管理システムの活用
近年、介護業界でも採用管理システム(ATS: Applicant Tracking System)の導入が進んでいます。これらのシステムは、応募者情報の一元管理から選考プロセスの自動化まで、採用業務全体を効率化する強力なツールです。
2025年8月に提供が開始された「ジョブメドレー 採用管理アプリ」のように、スマートフォンで応募者情報の確認や選考管理、メッセージのやり取りまで完結できるサービスも登場しています。

このようなシステムを活用することで、業務の合間や現場での空き時間などを採用業務に活用できるようになります。新着応募や応募者からのメッセージを受け取ると、リアルタイムでプッシュ通知が届くため、対応スピードが大幅に向上します。
ある訪問看護ステーションでは、採用管理アプリの導入により、応募から面接設定までの期間が平均1.6日から1日未満に短縮され、面接設定率も6.6%増加したという成果が報告されています。
採用管理システムを選ぶ際のポイントは、使いやすさと既存の業務フローとの親和性です。複雑すぎるシステムは逆に負担になるため、直感的に操作できるUIデザインのものを選びましょう。
採用管理システムの主な機能
効果的な採用管理システムには、以下のような機能が含まれています:
- 応募者情報の一元管理
- 選考ステータスのトラッキング
- 自動メール送信機能
- 面接スケジュール調整機能
- 評価シート・フィードバック機能
- レポート・分析機能
これらの機能を活用することで、採用業務の可視化と効率化が進み、採用担当者の負担軽減につながります。
あなたの施設に最適な採用管理システムはどのようなものでしょうか?予算や規模、求める機能を整理して検討してみましょう。
採用業務の役割分担と時間確保
介護施設では、専任の採用担当者がいないケースが多く、現場の管理者や主任が採用業務を兼務していることがほとんどです。
そのため、採用業務の役割分担を明確にし、効率的な時間の使い方を工夫することが重要です。
例えば、応募者への初期対応は事務スタッフが担当し、書類選考は主任クラス、面接は施設長と主任で行うといった具合に、役割を分担することで、一人にかかる負担を軽減できます。
また、採用業務のための時間を週間スケジュールの中に明確に組み込むことも効果的です。「月曜の午前中は応募者対応の時間」「水曜の夕方は面接の時間」など、あらかじめ時間枠を設定しておくことで、計画的に採用活動を進められます。
ある介護施設では、毎日30分の「採用タイム」を設け、その時間だけは採用業務に集中するというルールを作りました。短時間でも毎日継続することで、応募者対応の遅れが解消され、採用成功率が向上したそうです。
小規模施設での工夫
特に小規模な介護施設では、限られた人員で採用活動を行う必要があります。そんな中でも効率化を図るための工夫として、以下のようなアプローチが有効です:
- 採用業務の優先順位を明確にする(応募者対応>求人原稿作成>採用計画など)
- 短時間でも毎日確実に採用業務の時間を確保する
- スマートフォンやタブレットを活用し、移動時間や隙間時間を有効活用する
- 採用業務の一部をアウトソーシングする(求人原稿作成、初期スクリーニングなど)
人手が限られていても、工夫次第で効率的な採用活動は可能です。
あなたの施設では、どのように採用業務の時間を確保していますか?
採用業務の外部委託という選択肢
介護職の採用管理に十分なリソースを割けない施設にとって、採用業務の外部委託(RPO: Recruitment Process Outsourcing)も有効な選択肢です。
RPOサービスを利用することで、求人戦略の策定から応募者対応、面接調整まで、採用プロセス全体または一部を専門家に任せることができます。
中小介護事業者向けのRPOサービスとして、「かいごのおたすけ採用隊」のような専門サービスも登場しています。月額定額制で採用業務を完全代行し、初期費用無料、成果報酬無料、求人掲載費込みの明確な料金体系を提供するサービスです。
このようなサービスでは、戦略的求人設計、積極的スカウト活動、業界ネットワーク活用などのアプローチで、中小介護事業者の採用課題解決をサポートしています。
関東地方のデイサービス(従業員15名)では、このようなサービスを活用して3ヶ月で5名の採用に成功した事例があります。また、関西地方の特別養護老人ホーム(従業員45名)では採用業務時間を50%削減できたという報告もあります。
外部委託を検討すべきケース
以下のような状況にある介護施設は、採用業務の外部委託を検討する価値があります:
- 慢性的な人手不足で採用業務に十分な時間を割けない
- 採用ノウハウが不足している
- 複数のポジションを同時に採用する必要がある
- 採用コストを予測可能な形で管理したい
- 採用業務に振り回されず、本来の介護業務に集中したい
外部委託のメリットは、専門知識を持ったプロフェッショナルによる効率的な採用活動が実現できることと、現場スタッフの負担軽減が同時に達成できる点にあります。
あなたの施設でも、採用業務の負担が大きいと感じるなら、外部委託という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ:効率的な応募者管理で採用成功率を高めよう
介護職採用における応募者管理の効率化は、人材確保の成功率を大きく左右します。本記事で紹介した以下の取り組みを実践することで、限られたリソースの中でも効果的な採用活動が可能になります。
- 応募情報の一元管理システムの構築
- 応募者対応の自動化と迅速化
- 選考プロセスの標準化と可視化
- 採用管理システムの活用
- 採用業務の役割分担と時間確保
- 採用業務の外部委託の検討
介護業界の人手不足が深刻化する中、一人でも多くの優秀な人材を確保するためには、応募者管理の効率化が不可欠です。
今日から始められる小さな改善から取り組み、段階的に採用プロセスを最適化していきましょう。
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