
介護業界における人材不足の現状と課題
介護業界の人材不足は年々深刻化しています。厚生労働省の調査によると、2025年には約240万人、2040年には約272万人の介護職員が必要とされていますが、現状では大幅に不足しているのが実態です。
介護職の有効求人倍率は3.40倍を超え、全職種平均の約3倍という「超」売り手市場となっています。このような状況下では、従来の採用手法だけでは優秀な人材の確保が難しくなっているのです。

なぜ、これほどまでに介護職の採用が難しいのでしょうか?その主な要因は次の3つに集約されます。
- 低賃金・重労働のイメージ:他産業と比較して賃金水準が低く、夜勤や身体介護など肉体的・精神的負担が大きい業務が多いという印象が根強く残っています。
- キャリアパスの不明確さ:資格取得や役職昇進などのキャリアアップの道筋が見えにくく、将来展望を描きづらい状況があります。
- 職場環境の課題:労働時間の長さ、休暇取得の難しさ、人員不足による負担増加など、働きやすさに関する問題が離職率上昇につながっています。
これらの課題を抱えながらも、介護サービスの需要は高齢化社会の進行とともに増加の一途をたどっています。2024年時点で高齢化率は29.3%に達し、2040年には34.8%、2045年には36.3%にまで上昇すると予測されています。
即効性のある介護職採用を実現する5つの実践方法
人材不足が深刻な介護業界で、すぐに効果が出る採用方法を知りたいと思っていませんか?
ここからは、中小介護事業者が今すぐ実践できる、即効性の高い採用手法を5つご紹介します。これらは実際に多くの介護施設で成果を上げている方法ばかりです。
1. 戦略的な求人設計で差別化を図る
大手介護施設との差別化は、中小事業者にとって最も重要な採用戦略です。あなたの施設ならではの魅力を明確に打ち出しましょう。
関東地方のあるデイサービス(従業員15名)では、「アットホームな職場環境」と「個人の成長機会」を前面に押し出した求人を作成。その結果、わずか3ヶ月で5名の採用に成功しました。
具体的な実践ポイントは以下の通りです。
- 競合分析に基づいた差別化ポイントを明確にする
- 中小事業者ならではの魅力(アットホームな環境、意思決定の速さ、裁量の大きさなど)を強調
- 求人原稿には写真や動画を活用し、実際の職場の雰囲気を伝える
- 応募者が重視するポイント(給与条件だけでなく、働きやすさや成長機会など)を明記

求人設計のポイントは「待ちの採用」から「攻めの採用」への転換です。ただ求人を出して応募を待つのではなく、自施設の魅力を積極的に伝えることで、応募者の心を動かしましょう。
2. 積極的なスカウト活動で優秀な人材にアプローチ
埼玉県のある社会福祉法人では、ハローワークや地元の求人情報誌での募集では全く応募がなかったものの、スカウト活動を取り入れたところ、わずか数日で20代の女性からの応募を獲得。その後も経験者からの応募が続き、採用に成功しました。
スカウト活動の効果を高めるためには、次のような工夫が有効です。
- 求職者一人ひとりに個別カスタマイズしたメッセージを送る
- 施設の具体的な魅力や、その求職者が活躍できる理由を伝える
- 返信がない場合でも継続的にフォローアップする
- スカウトメッセージの返信率を測定し、内容を改善し続ける
スカウト活動は、単なる声かけではありません。求職者の経歴や希望を分析し、あなたの施設でどのように活躍できるかを具体的に伝えることで、高い返信率を実現できます。
3. 採用ターゲットを明確にして効果的にアプローチ
「誰でも良いから採用したい」という考えでは、効果的な採用活動はできません。自施設に最も適した人材像を明確にし、そのターゲットに響く採用メッセージを発信することが重要です。

九州地方のあるグループホーム(従業員8名)では、「家庭を持つ女性」をターゲットに設定。「人間関係の良さ」「職位で優劣がつかない」「家庭を持つ女性同士でフォローし合える」といった魅力を前面に押し出した結果、2ヶ月で2名の採用に成功しました。
ターゲット設定のポイントは、以下の観点から考えるとよいでしょう。
- 現在活躍している職員の共通点は何か
- 自施設の強みを最も評価してくれるのはどんな人材か
- 地域特性から、どのような人材が応募しやすいか
- 未経験者、経験者、シニア層など、どの層をターゲットにするか
ターゲットを絞ることで、採用メッセージが明確になり、「この施設で働きたい」と思ってもらえる確率が高まります。
4. 多様な採用チャネルを活用した露出拡大
一つの求人媒体だけに頼っていませんか?複数の採用チャネルを組み合わせることで、より多くの求職者にリーチできます。
関西地方のある特別養護老人ホーム(従業員45名)では、従来のタウンワーク掲載に加えて、Indeed PLUSを活用。求人情報量を増やし、複数の勤務地や雇用形態ごとに求人を分けて掲載したところ、応募数が増加し、採用業務時間を50%削減することに成功しました。
効果的な採用チャネルの組み合わせ例は以下の通りです。
- 求人サイト(Indeed、リクナビNEXTなど)
- ハローワーク(無料で掲載でき、真剣に仕事を探している層にリーチできる)
- 人材紹介会社(質の高い候補者を紹介してもらえる)
- リファラル採用(現職員からの紹介で、定着率の高い採用が期待できる)
- 自社サイトでの採用ページ(施設の魅力を詳しく伝えられる)
各チャネルの特性を理解し、自施設のターゲット層に合わせて最適な組み合わせを見つけることが大切です。
5. 採用業務の外部委託で専門性と効率性を向上
介護の現場では、採用業務に十分な時間を割けないことが多いのではないでしょうか。そんな時は、採用業務の外部委託も効果的な選択肢となります。

「かいごのおたすけ採用隊」のような中小介護事業者専門の採用代行サービスを利用することで、採用のプロフェッショナルによる戦略立案から求人掲載、応募者対応、面接調整まで一貫してサポートを受けられます。
採用業務の外部委託のメリットは以下の通りです。
- 採用のプロによる戦略的なアプローチで採用確率が向上
- 本業に集中できるため、サービスの質の維持・向上につながる
- 採用コストの予測可能性が高まる(月額定額制のサービスが多い)
- 採用市場の最新トレンドを取り入れた採用活動ができる
- 採用業務の負担軽減により、現場スタッフの負担が減少
外部委託を検討する際は、中小介護事業者の特性を理解しているサービスを選ぶことがポイントです。大手向けのサービスでは、中小事業者ならではの魅力を活かした採用戦略を立てにくい場合があります。
あなたの施設は何から始めますか?
採用成功のための差別化ポイントの見つけ方
介護業界の採用競争で勝ち抜くためには、他施設との差別化が不可欠です。でも、自分たちの強みや特徴って、なかなか客観的に見つけるのは難しいものですよね。
私がある小規模デイサービスのコンサルティングをしたとき、最初は「うちには特に強みがない」と言われました。しかし、実際に現場を見て職員と話すと、利用者一人ひとりに合わせたきめ細かなケアや、スタッフ間の温かい人間関係など、たくさんの魅力が見つかりました。

差別化ポイントを見つけるための具体的な方法をご紹介します。
1. 現職員へのインタビューで強みを発掘する
現在活躍している職員に、「なぜこの施設で働いているのか」「どんな点にやりがいを感じているか」を率直に聞いてみましょう。当たり前だと思っていることが、実は大きな差別化ポイントになっていることがよくあります。
- 「利用者さんの笑顔が直接見られる小規模ならではの喜び」
- 「管理者と現場の距離が近く、提案が通りやすい」
- 「子育てと両立しやすいシフト調整の柔軟さ」
こうした声を集めることで、採用活動で訴求すべき強みが見えてきます。
2. 退職者の声から改善点を見つける
退職した元職員からも貴重な情報が得られます。「なぜ辞めたのか」を正直に聞き、改善すべき点を把握しましょう。これにより、採用後の定着率向上にもつながります。
ある介護施設では、退職者インタビューから「夜勤の負担が大きい」という声が多かったため、夜勤専門スタッフを採用し、一般職員の夜勤回数を減らす取り組みを実施。その結果、「夜勤負担が少ない職場」として差別化に成功し、応募者が増加しました。
3. 利用者・家族の評価から魅力を再発見する
利用者やその家族からの評価も、差別化ポイントを見つける重要な手がかりです。「なぜこの施設を選んだのか」「どんな点に満足しているか」を聞くことで、外部からみた施設の魅力が明らかになります。
例えば、「スタッフの笑顔が素敵」「細かな要望にも柔軟に対応してくれる」「家族の相談にも親身になってくれる」といった声は、そのまま採用メッセージに活かせます。
あなたの施設の隠れた魅力は何でしょうか?
自分たちでは気づかない強みを発見し、それを採用活動に活かすことで、「この施設で働きたい」と思ってもらえる確率が高まります。
採用後の定着率を高める組織づくりのポイント
採用に成功しても、すぐに退職されては元も子もありません。せっかく採用した人材に長く活躍してもらうためには、働きやすい組織づくりが欠かせません。
介護業界の離職率は依然として高い水準にありますが、工夫次第で大幅に改善できます。ある介護施設では、以下の取り組みにより、業界平均16.7%の離職率を5%以下に抑えることに成功しています。

1. 明確なキャリアパスの提示
介護職のキャリアパスが見えにくいという課題に対して、段階的な成長モデルを示すことが効果的です。
- 資格取得支援制度の充実(費用補助、勉強会の開催など)
- 役職や専門分野ごとの昇進ルートの明確化
- 定期的なキャリア面談の実施
- スキルアップに応じた給与アップの仕組み
「この施設で働き続けることで、自分がどう成長できるのか」が見えることで、長期的な定着につながります。
2. 働きやすい環境づくり
介護職の負担軽減と働きやすさ向上のための取り組みも重要です。
- 業務の効率化・ICT活用による書類作業の削減
- 介護ロボット・福祉機器の導入による身体的負担軽減
- 柔軟なシフト制度(短時間勤務、時間帯選択制など)
- 休暇取得の促進(計画的な有給消化の仕組みなど)
- 子育て・介護との両立支援(託児所の設置、時短勤務など)
「この職場なら長く働ける」と思ってもらえる環境づくりが、採用活動の成功にもつながります。
3. コミュニケーションの活性化
職場の人間関係は、定着率に大きく影響します。特に中小介護事業者では、アットホームな雰囲気づくりが強みになることも多いでしょう。
- 定期的なチームミーティングの開催
- 管理者と現場スタッフの距離を縮める取り組み
- スタッフ間の交流イベント(食事会、レクリエーションなど)
- 提案制度の充実(現場の声を活かす仕組み)
「この仲間と一緒に働きたい」と思える職場づくりが、採用の成功と定着率向上の両方に効果を発揮します。
まとめ:即効性のある採用戦略で介護人材不足を解消しよう
介護業界の人材不足は深刻ですが、適切な戦略と工夫により、効果的な採用活動が可能です。本記事でご紹介した5つの実践方法を整理すると、以下のようになります。
- 戦略的な求人設計で差別化を図る:中小事業者ならではの魅力を明確に打ち出す
- 積極的なスカウト活動で優秀な人材にアプローチ:待ちの採用から攻めの採用へ
- 採用ターゲットを明確にして効果的にアプローチ:自施設に最適な人材像を定義する
- 多様な採用チャネルを活用した露出拡大:複数の媒体を組み合わせて効果を最大化
- 採用業務の外部委託で専門性と効率性を向上:プロの力を借りて採用成功率を高める
さらに、採用後の定着率を高めるための組織づくりも重要です。明確なキャリアパスの提示、働きやすい環境づくり、コミュニケーションの活性化により、長く活躍してくれる職場を実現しましょう。
介護業界の採用課題は一朝一夕に解決するものではありませんが、今回ご紹介した方法を一つずつ実践することで、確実に成果につながります。まずは自施設に合った方法から始めてみてください。
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